大和の一歩目

ポーランドで行われたワールドゲームズを観てきました。ワールドゲームズとはまだオリンピックの正式競技になる前の種目を集めたスポーツの国際大会である。

その中に世界的に盛んに行われている競技がたくさんあり、このワールドゲームズでの成功次第では正式競技になるという、オリンピックへの登竜門でもある。

今回の大会では2020年に正式競技になるソフトボールや7人制ラクビーを始め、ボーリングや空手、相撲にアメリカンフットボール、果ては綱引きなど40近くのバラエティに富んだ競技が開催されていた。

オリンピックが30程度の競技で行われるので、このワールドゲームズのほうが規模が大きいことになる。オリンピック同様、国の威信をかけ選手達は戦い、想像以上に盛り上がる大会である。

オリンピックなら潤沢な資金もあるだろう。しかし、ワールドゲームズにはまだまだそんなに多くの資金は無い。しかし、その分、競技者の思いが伝わってくる。マイナースポーツをするアスリートの思いが競技に表れ、その思いに感動する。

オリンピックの競技の中にはその競技さえしていればお金が貰える競技者もいる。そういう境遇であれば、何もせずにもただその競技に専念できる。さらに強化種目として、国からも補助金が出るだろう。

しかし、ワールドゲームズの競技者は国の支援どころか、スポンサーに理解を得るのも大変だ。選手たちは他の職業に就きサラリーを得てその給料で競技を続けていけるのだ。その事を考えればその思いに胸が熱くなる。

かつてドイツやロシアから侵略を受けた歴史を持つポーランドの地に立ち、マイナースポーツに熱を注ぐ選手たちを見る。つくづく、日本の野球というスポーツがいかに恵まれているか改めて理解できた。

色なところに目を向けて見ることも大切だ、と実感した。

さて、今週のタイガースだが、カープ戦ではもったいない引き分けがあった。

試合前までカープ3連戦で3連勝してやっとカープの背中が見えるという具合だったのだが結果1勝1敗1引き分け。これなら試合を消化した分、カープが優勝に近づいた、と言えるだろう。

実際に自力優勝も無くなった。仮にカープが残り42試合を21勝21敗の五分で終えたとするとタイガースは残り46試合を32勝14敗ととんでもなく勝ち越しをする必要があり、カープが勝ち星を挙げる度にタイガースはそれ以上に勝たねばならなくなった。

そもそもカープが残り試合を五分で終わる事自体が甘い観測で、最後の最後まで死力を尽くす事は当然だがタイガースが逆転優勝をする事は九分通りないであろう。

ただ、かと言って日本シリーズへの道が閉ざされた訳ではない。カープは28の貯金があるがその内訳は、巨人中日ヤクルトからの21個である。

交流戦で6つ、DeNAに1つ勝ち越しをしているがほとんどが下位チームからの貯金だ。もちろん、優勝するにはお客さんを作ることが大事、とされているがそのお客さんの一番手が巨人なのだ。

巨人はカープに9つも貯金を献上している。まっ、この話はさておき、私はクライマックスシリーズのファイナルはカープとタイガースが戦う事になるだろう、と思っている。

これは別にDeNAを軽視している訳ではない。しかし昨日(6日)の試合を見ている限り、DeNAは野球が雑というか粗く、短期決戦には向いていないと思えるのだ。そう考えると、あくまで個人的な見解だが、タイガースがカープと戦うのが順当だろう。

さて、そうなった時に一番困るのがカープ打線だ。メッセンジャーには相当苦手意識があると思う。また、先発陣の秋山、リリーフ陣の岩崎、桑原や高橋といった投手はカープ打線には手を焼くだろう。

その一方、タイガース打線から見れば特に苦手意識を持った投手もいなく、昨年のジョンソンなら別だが今年は怪我や病気などで戦列を離れる事が多く、今だに一軍登録をされていない。

チームの対戦成績も現時点で8勝8敗だ。シーズンの勝ち越しだって充分あり得る。クライマックスのファイナルには優勝チームに1つ勝ち星のアドバンテージが与えられるが、どちらが優勝をするにしてもタイガースが有利であると私は思っている。

その有利な点をさらに確信して戦う上でもタイガースにはカープと残り8試合で勝ち越しをして欲しいのだ。おそらく、カープはシーズン終了後には、貯金30を越えていると思う。

貯金30を越えてもタイガースには負け越した、となると、そこに苦手意識が出てくる。ファイナルを気持ちの上で有利に立てば、良い結果が生まれやすい。タイガースには最後の最後まで、タイガースらしい戦いをし、カープに勝ち越して欲しい。

ところで、糸原が怪我で一軍登録を抹消されてから大和がショートを守る事が増えた。

2010年、ある野球中継の解説で鳥谷のライトへコンバートを勧める話をした事があった。前年に赤星が引退した事もあり、守備力のある外野手が求められていた。

レフトには金本がおり、センターにはその年獲得したマートンが守り、とにかくライトが手薄だった。

2009年にメンチという新外国人選手を獲得したが全然ダメで、桜井や葛城などがライトを守った。ただ、ライトというポジションは肩の強さや脚力も求められるポジションで桜井や葛城には荷が重くチームを見渡せば私の中での適任者は鳥谷だった。

当時、鳥谷と言えばショート、ショートと言えば鳥谷、と断固たるものがあったが、私から見れば、鳥谷はライトの方がもっと力を活かせると思っていたのだ。

彼の肩や脚力は勿論のこと、打力だってショートにいるよりずっと打てる、と私は思っていた。

そうすることでタイガースを代表する選手から日本を代表する選手になって欲しかったのだ。

その意味を込めてライトへのコンバートの話をしたのだが、タイガースファンというか鳥谷ファンから抗議の嵐にあってしまった。

このブログにも抗議と私への批判でいっぱいになった。その中には鳥谷をライトへコンバートして、誰がショートを守るんだ。しかも、大和と言うから大笑いだというようなコメントがあった。

テレビ中継では、アナウンサーにでは、ショートは誰が?という質問に大和と応えたので余計にファンの気持ちを逆なでした格好になってしまった。

当時の大和はまだ無名で、というか、私がタイガースのバッティングコーチをしていた20078年当時は、いつも、岡田監督から覇気がないと怒られ、キャンプ地から強制帰阪された事もあった選手だった。

身体の線も細く、打球も飛ばず、声も小さい。覇気がないと怒る指揮官の気持ちも分かるのだがただ、守備は抜群だった。なんと言っても、一歩目が速いのだ。

6日の試合、9回表、1点を獲られ、6対5となり、1死1塁の場面だ。代打飯原の打球は投手の足元を抜けた。誰もがヒットと思った瞬間、大和のグローブに収まり、バックトスで1塁走者をアウトにしたのだ。野球ファンの方には球際が強いと上手い選手に見える事もあるだろう。

実際、派手に飛び込んでキャッチすればファインプレーと称賛される。もちろん、球際が強い事も大事だが打った瞬間の、一歩目の速さも非常に大事なのだ。

これで思い出すのが元ヤクルトの宮本慎也だ。彼の一歩目は相当速かった。今まで見たショートでは一番だろう。

だが、大和はその宮本慎也にも引けを取らない。特に二遊間へのスピードがズバ抜けている。三遊間ならば宮本慎也の方が送球を含めて分があるが、二遊間なら大和は引けを取らない。

あの守備なら打率は2割23分でも十分だ。なにしろ2010年当時は打てる捕手の城島がいたのだ。

そういう事もあって鳥谷のライトへコンバートの話をさせて頂いたのだが、今では、大和がショートを守る度に、当時の事を思い出す。

そして、岡田監督から怒られている大和を助けてやれなかった負い目もある。当時、絶対権力者だった岡田監督に新米コーチの私が反対意見を言うことも出来ず、理不尽に怒られている大和を助けてやれなかったのだ。その苦い思いが大和を見る度に甦る。

今では大和の守備力は野球ファンなら誰でも知っている。これからも大和の活躍を心から楽しみにしている。頑張れ、大和!!

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